なぜ投資をしないことが「最大のリスク」なのか

なぜ投資をしないといけないのか。

多くの人は、自分個人のバランスシート(BS)の資産欄を預金で埋めている状態を「ゼロリスク」だと信じている。
汗水垂らして稼いだ現金を銀行に置いておけば、減ることはない。だから安全だ、と。

はっきり言おう。その考え方こそが、最大のリスクだ。

なぜなら、あなたの周りの「勝者」たちは、適正なリスクを取ることで、投資をしないあなたを置き去りにしてどんどん前へ進んでいるからだ。

格差は「給料」ではなく「資産」で広がる

「給料が上がらない」と嘆く声を聞く。
しかし、残酷な事実として、現代の格差の大部分は給与所得の差で拡大しているのではない。
各々が所有している「資産」の利回りによって拡大しているのだ。

トマ・ピケティが証明した「r > g」を持ち出すまでもなく、資本収益率(お金が増えるスピード)は、経済成長率(給料が増えるスピード)を常に上回る。

端的に言えば、投資をしている側は富裕層への階段を登り、投資をしない側は相対的貧困へと滑り落ちていく。
投資をして、リスクを受け入れる。
これが、資本主義社会を生きる我々の宿命なのだ。

「会社を起こす勇気はない」「副業をする時間もない」
ならばせめて、自分の資本の一部くらい市場に預けないと、人生の選択肢は先細りする一方だ。

リスクとは「危険」ではない。「変動」だ

投資を避ける人の大半は、「損をするのが怖い」「失敗したくない」と言う。
この恐怖心の根底には、「リスク=危険」という誤った定義がある。

投資家にとってのリスクとは、「危険(Danger)」ではなく「変動幅(Volatility)」だ。

少し身の回りを見てほしい。
あなたが買った最新のiPhone、気に入って買ったブランドの服。
これらは買った瞬間に「中古」となり、金銭的価値は半減する。
これは確実なマイナス、つまり「損失」だ。

では、なぜ株価が一時的に下がることは許せないのか?
株は、短期的には下がるかもしれないが、長期的には価値を生み出し、資産を増やす可能性がある。
「確実に価値が減るもの」には金を使えるのに、「増える可能性があるもの」には恐怖を感じる。
冷静に考えれば、これこそ奇妙な行動ではないだろうか。

「わからない」から怖いだけ

恐怖の原因は「無知」だ。
何を買えばいいかわからない、どうなったら損をするかわからない。
だから動けなくなる。

しかし、断言できる。
「リスクを取って投資をすることは、将来の漠然とした不安を減らすために最も役立つ行為」であると。

お金を持っていれば幸せになれるとは限らない。
だが、お金があった方が、人生の理不尽に対して「NO」と言える力は確実に増す。
お金はあるより、あった方が絶対に気分がいい。

リスクを飼いならす技術

無闇にリスクに怯える必要はない。
重要なのは、自分がどれだけの「変動」に耐えられるかを知ることだ。

  • 夜も眠れなくなるような精神的限界ライン
  • 生活費が枯渇してしまう物理的限界ライン

このラインは人によって違う。
若い頃の100万円と、老後の100万円では重みが違う。
この「ちょうどいい距離感」を探り当てることが、投資の第一歩だ。

分散こそが最強の防具

どれだけ優秀な投資家でも、未来を予知することはできない。
あのウォーレン・バフェットでさえ、間違えることはある。

間違いを犯す前提で生き残るための戦略。
その答えはシンプルだ。
「いろんなものを持つこと(分散)」だ。

株だけではない。国も、通貨も、時間も分散する。
何か一つがダメになっても、他でカバーする。
これを繰り返すことで、致命傷を避けながら、波に乗るチャンスを待つことができる。

「日本円一本足打法」というギャンブル

「私は投資をしていないから大丈夫」
いいえ、あなたは投資をしている。

「日本円」という、世界の中のたった一つのローカル通貨に、資産の100%を集中投資している。

銀行預金は安全に見えるかもしれない。
しかし、インフレが起きれば現金の価値は目減りする。
円安が進めば、輸入品(iPhoneやエネルギー)を買う力は弱まる。
「変動しない」ように見えるだけで、実質的な価値は常に変動しているのだ。

日本円だけに賭けるというのは、日本経済が未来永劫安泰であり、インフレも起きないというシナリオにフルベットしているのと同じだ。
これこそ、分散が効いていない、最もリスクの高いギャンブルではないだろうか。

株も、ドルも、ユーロも持つべきだ。
余裕があれば、金(ゴールド)やビットコインといった、異なる値動きをする資産を持つのもいい。
それが、不確実な世界を生き抜くための「保険」になる。

結論:市場に居続けろ

ウォーレン・バフェットの有名な言葉がある。

ルール1:損をしないこと。
ルール2:ルール1を忘れないこと。

これは「一円も減らすな」という意味ではない。
「再起不能になるような致命的な損(退場)をするな」という意味だ。

人生が変わるような爆益を狙えば、人生が終わるようなリスクを背負うことになる。
それは投資ではない、ギャンブルだ。

大切なのは、市場から退場せず、お金を置き続けること。
失敗してもいい。小さく失敗し、原因を分析し、修正する。
その経験値こそが、あなたを本当の投資家にする。

まずはここから

「じゃあ、具体的に何から始めればいいのか?」

考えるのが面倒なら、米国市場全体を買う「VTI」のようなインデックスファンドから始めればいい。
あるいは全世界株式(オルカン)でもいい。

そして最後に、一つだけ補足しておきたい。

本ブログでは新興国やフロンティア市場への投資を扱っているが、これは「いきなりやるもの」ではない。

  • リスクの概念を正しく理解し
  • 分散投資の基本ができていて
  • インデックス投資等で市場の変動に慣れていて
  • 暴落が来ても生活が揺らがない資金管理ができている

これらをクリアした人が、さらなる分散やアルファ(超過収益)を求めてたどり着く場所だ。
まずは王道から始めよう。
少しずつ慣れて、少しずつ失敗して、少しずつ前に進もう。

リスクを取らないリスクに、
あなたはいつまで耐えられますか?

【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解であり、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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この記事を書いた人

30代、投資家。放浪の民。

インデックス投資を軸に、資産形成を進めてきた。
長期・分散・低コストという王道を実践し、一定の再現性は自分なりに体得。
その一方で、「市場をまとめて買う」投資に物足りなさを感じる日々。
オルタナティブに、さまざまな手作り投資を実践中。

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