初心の手紙 vol.01 ── まずはブレーキの話から

初心の手紙 vol.01 ─ まずはブレーキの話から

1 年で資産が 5 倍、10 倍になる経験。
いいですよね。すでに私、2 度経験しています。

たった 4 年の間に、2 度。

すごいですか? 自慢話だって? いえいえ、その反対です。
わかる人なら、すぐに指摘できる、恥ずかしい話。

おまえ、リスク取りすぎ

爆益、いいですよ。世界が自分中心に回っているようになります。
傲慢になります。
そして、ブレーキが効かなくなります。

いえ、やめておいた方がいいのは薄々感じてはいる。
でも、ひたすらに金を増やして、増やして、増やして、ゼロにする。
負けてすっからかんになるまで、ブレーキを「踏まない」。

バカじゃないかって思いますか?
バカなんですけど、ひとって弱い生き物なんです。

朝、起きたら 100 万増えてる!
こんなとき、どう考えると思いますか?

もっと持っていれば、もっと増えるんじゃね?

つまり、強欲になります。
気がはやいかもしれませんが、市場にお金を置いていると、遅かれ早かれ、こんな経験に出会います。それも、結構な頻度で。

もちろん、資産が倍になったのなら、それは間違いなくチャンスではあるんです。
皆さんの手元にチャンスが舞い込んできたとき、しっかりと掴まえてほしい。

知っている、というのは武器です。
ですから、わたしのような投資初心者が誤って資産を数倍にしてしまったときの心理を、お伝えします。

1. 投資の爆益は私生活が破綻する

ビットコインの時は、すごかった。
種銭は半年で 5 倍になりました。
半年間の日課。評価額、どれだけ増えたか。
楽しかったです。圧倒的万能感。

当時の私は新卒で、学生時代の蓄えは 0 だったにもかかわらず、半年後には 400 万以上持っていました。生涯稼いだ額以上の金融資産を保有していたわけです。

すると、どうなるか?

  • ビットコインを持っていない同僚を見下してました
  • ビットコインを持っていない上司を、白い目で見てました
  • ビットコインを持っていない家族を軽蔑していました

なにせ、金融の世界においては、少ない種銭で稼いだ人は正義です。人生経験の浅い当時の私には、わかりやすい杓子だった。

そして、どうなったか?

リスクジャンキーになりました。

だって、資産が 5 倍とかになるんですよ?
じゃあ、もっと金を注ぎ込めば、もっと増えたはずだと思いません?

ここから始まったのが、極度の極貧生活です。
日々は会社と寮の往復。外食はなしで、一日のうちカップ麺一個で過ごしたこともあります。
1 円でも余分に、ビットコインに注ぎ込まねばならない。
そんな強迫観念に突き動かされていました。

これと良く似た状況、どこかで見たことありません?
韓国資本がはいった、銀色の玉がじゃらじゃらでてくるあれです。

2. 投資の爆益は、労働がアホらしくなる

なんで、月 20 万の給料のために頑張らないといけないんだ?
資産が増えている半年の間に、じわーっと芽生えてきた感覚です。

もっとも私の場合、会社を辞めるという選択ができない程度にはチキンであり、ビットコインに貢ぐ為の資金調達手段を労働から獲得してくる以外の手段を知りません。
問題は、辞めないことじゃないんです。

世の中、楽勝じゃん。

要するに、世の中をなめくさります。
ただの舐めプじゃありません。リスクジャンキーになった舐めプです。

この後、ブログを始めてすぐに潰し、物販ビジネスの真似事を始めて資金繰りに奔走します。
人生は楽勝だと思っていましたから、カードの限度額ギリギリまで使い切ります。ノーガードです。

結果、明日までに売れないとショートするストレスで胃をキリキリと締め上げ、しかも扱った商品にはまってミイラ取りがミイラになるところまで行き着くわけですが。

別に違法なことはしていませんよ?
単純な転売じゃ勝てないと察して、単価の高いアニメキャラクターの立体模造人形の欠品パーツを揃えて転売しただけ。

ドール、可愛いです。別に深い沼ではなかったです。
まあまあ、でたはずの利益がなくなって、気がついたら我が家に女の子を 3 人もお迎えしていただけです。
あれ?

3. 貯める力が故障する

わたしは極度のドケチになりましたが、身の丈以上の買い物をしてしまう方もいるみたいですね。
利益が爆発した方を数人知っていますが、大抵は使っちゃうみたいです。

同じタイミングで始めた友人は、先に社会にでていたこともあり、種銭が私以上に豊富でした。
結果として、かるく数千万の爆益を出していました。
しかも、彼は、私より一歩も二歩も秀でた投資家で、ちゃんと利確して、外車を購入。

彼はいいます。

5,000 万持ってて、年収 200 万の暮らしを続けるって、相当強靭な精神力いるよ?

日記をみるに、妙に説得力のある言葉のように、当時の私は感じたようです。
いまなら、それは違うよって言えるんですけどね。

彼の場合、ここまでは良かった。
でも、投資の成績が良くなくても、派手な生活を辞められなかったみたいなんです。
最近金が貯まらんわーってこぼすようになってきます。

やっかみ半分、妬み半分の私は、それでもお金、あるんでしょう? とまともに取り合っていなかったんです。そのことを、とても後悔してます。

彼、わりと本気で助けを求めてたんですね。

貯める力が故障したまま、浪費。
資産が目減りしていくのに耐えられず、変動率の高い商品に手を出します。
石油の先物取引です。

こちらは、気がつけばマイナス 1,500 万だったとか。
気がついたら車、手放してました。

それでも、もう一度

とにもかくにも、僕らは爆益があったはずなのに、気がつけばすっからかん。
預金口座に金はなし。見たくもない評価額の仮想通貨と、1 年で白髪の増えたやつれた自分。

幸せってなんぞや。人生とはなんぞや。
真剣に考え始めたのは、このときです。

だって、このまま生きると、金に踊らされるだけの人生になるという確信めいた予感がしたのですから。
幸せって、お金の世界の延長線にはないという現実を、突きつけられました。

多分幸せっていうのは。

  • 昔からの友だちと、ちょっとした旅行を企画するとか
  • ワクワクするアニメ作品に触れるとか
  • 仕事に疲れて帰ってきて、お弁当を食べたときにふっと湧き上がる安心感とか

そして、やりたいことを、やりたいようにやる。
これに尽きる。

つまり、何が言いたいかというと、爆益しても、良いことばかりではないよ、と言いたいのです。

でも、同時に、決定的な気づきもあります。
金融市場には人生を変えてくれるだけの力があること。
しかもお金はないよりあった方が絶対に気分がいい、ということ。

だから、もう一度、挑戦したいな、と。
今度は、自分にちょうど良いリスクを、さぐり探り測りながら。

2021 年某日

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