豊作の 7 年間の間に作物を食べないで可能な限りとっておく。
ヘブライ聖典『タルムード』から現代へ、身のつまされるような逸話があります。
あるとき、エジブトのファラオが夢を見た。ナイルのほとりから 7 匹の丸々と太って体格のよい屈強な牛が現れた。その牛たちはナイルに生えている葦をついばんでいた。
ところが、である。ファラオが立ち去ろうとすると、その 7 匹の太った牛の後ろから、同じく 7 匹の痩せこけた牛が現れ、なんとその太った牛を食べてしまったのである。
この後、ファラオは家臣たちに夢の内容を聞いて回ります。この夢の内容はどう解釈すべきか、と。
ファラオに召し抱えられていた人類史上最初の経済学者(ともいわれる)ジョセフが、明瞭な答えを述べています。
曰く、これからエジプトには 7 年間、空前の大豊作が訪れます。しかしその後の 7 年間は、一粒の小麦もとれない大飢饉が訪れます、と。
順番が大事 ── 太った牛の後ろから、痩せた牛が現れる
だから、冒頭の「豊作の 7 年間の間に作物を食べないで可能な限りとっておく」に繋がってくるわけですが、この状況はまさに、これから、あるいは今まさに株式市場に身を置くわたしたち投資家に、重要な教訓を残してくれているように思います。
注目すべきことは、その順番です。
夢のなかで、痩せた牛がやってくるのは、太った牛の後なんです。
過度な大豊作で人々が慢心の後に、大飢饉がくる、と言っています。
まさにわたしは、この順番を知らなかったばかりに、ビットコインで手痛い失敗を重ねたわけなんですね。
(ここ一週間でテスラ大暴落したけどね。−10% とか泣いちゃう。30 万も持って行かれたぁぁぁぁ)
一貫性の罠 ── ビットコインのバイ・アンド・ホールド
ビットコインが暴落を迎える半年前から、わたしがずっととっていた戦略はバイ・アンド・ホールド。いわゆるガチホです。
ビットコインは買っておけば上がる。急落が来ても、握力が試される。
そういう文言がまことしやかにささやかれ、愚かにも学習することを辞めてしまったわたしは、定期的に積み立てて、なんなら価格が下がるたびに買い増しを実施していました。
その結果は皆さんもご存知かと思います。
でも、ですよ?
このやり方で儲かってるんですよ? 他に学ぶことってある?
そんなことを考えていました。
むしろ、わたしは、自分が一貫してひとつの戦略を取り続けたからこそ、見返りとして 5、600 万くらいの利益を得ることができたのだ。
そんな風に考えてました。
人間には、一貫性を保ちたい、という欲求があります。
自分がこれまでの行動や決断に一貫性を保ちたいと思うあまり、時には自分の理性を奪い、自分自身を騙すことさえあるのです。
なぜならわたしたちは、言動と行動が一致しているように教育されましたし、事実、人格的にも知的にも、一貫しているひとこそが人格者であるというのが普通です。
一貫性こそが、理論的であり、合理的であり、安定であり、なにより誠実さの証である。
一度成功した戦略を変えにくい理由も、ここにあります。
この発想は、人間社会で生きていく上では、間違いなく正しい。
けれど、こと株式市場においては、間違いになり得るのです。
ポジポジ病 ── 買えば、悩まなくなる
なにも、仮想通貨だけの話ではありません。
例えば、こんな経験はありませんか?
そこそこ儲けを取ることができた。
次だって、うまくやれるだろう。
さて、次はどこに投資しよう?
うーん、この銘柄とっても良いように見えるなあ。
でも、チャートはぐんぐん上がっている。あるいは、良い感じに下がってきている。
お買い得だ。これからチャートは上がるに違いない。早く買わないと、自分はまさに買わなかったという損失を被ることになる!
そうだ、とりあえず買ってしまおう!
この背後に隠れている言葉はこうです。
せっかくここまで、銘柄を調べてきたんだから。
自分の目の付け所は、間違っていないに違いない。できるだけ、裏は取るようにしてる。耳寄りの情報だし、有名な投資家さんが買いだと言っていたし、自分の肌感覚的にも上がりそうだし ……。
なにより、買ってしまえば、もう、悩む必要はなくなるぞ。
銘柄の選定に短気なわたしが、よくやってしまう行為なわけですが。
いわゆるポジポジ病の発症ですね。
この行動の何が悪いかって、わたしの心境を Mr. マーケットは欠片も考慮してくれない、ということです。
含み益も利益も元本も、本当に、あっさりと市場に吸い取られていきます。
上昇相場なら、大抵の場合、何を買っても儲かります。
けれど、儲かっている今だからこそ、自分の行動を見直すタイミングなんです。
豊作の年こそ、学びを蓄える
ヘブライ聖典『タルムード』は、調子がよくて、滅茶苦茶株のことを考えるのが楽しい今この瞬間こそ、下落に備えて学びを蓄え、行動することの大切さを、わたしたちに教えてくれています。
自分が銘柄を購入するとき、必ずしている行動。
ここをまず、見直すところから。
自分の中の良くない一貫性が、いまは良くても、今後良くない結果を引き寄せているかもしれません。
だから、株式市場の動きに、敏感になってください。
兆しは至るところにあります。
米金利の上昇とか、米財務長官の動向、製造・サービス PMI。
なにより、決算に注目してください。
自分がリスクを取りすぎていないか、あるいは、暴落したときに取るべき行動を決めておく、などなど、学ぶべきことは無限にあります。
わたし自身、まだまだ勉強中です。
一緒に頑張ろう!
2021 年某日

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