さて、株式とはなんでしょう?
資産が減ったら気持ちが凹む株式、含み益が増えても胃がキリキリする株式。
もっと大船に乗った気持ちで、と思いつつ色々考えてしまう時は、慣れていないか、身不相応な資産を投資している時だったり。
こういう時は、一旦距離を置いて、そもそも何で株なんだろう、と立ち止まってみることが有効だったりします。
ということで、今回は、株とはなんぞや、というお話です。
1602 年、人類は歴史を進めたんである
資本主義経済が発展する中で、投資という概念は欠かせません。
時代は、1602 年。大航海時代。
先行して東方への進出を果たしているスペイン・ポルトガルという強大なライバルたちに遅れをとっていたオランダの商人たち。
商売において、運用が上手くいけば資産が増える。
運用に失敗すれば、資産が減る。
この当たり前の状況で、しかし他人が成功しているのを、指をくわえて眺めていられるほど、彼らは聖人ではありませんでした。
しかも、比較的仲の良いライバルであるイギリスでも、東インド貿易に目を向け始めており、実際、行動に移し始めている ……。
東インド会社ってなんだよ、という心境。
このままでは、明らかに置いていかれる。
しかし、「船を出しては運に任せる」という行為を繰り返していては、先をゆくスペイン・ポルトガルには絶対に勝てない ……。
オランダの商人たちは考えます。
小さな船を出していてはダメだ。もっと金をかけて、安全かつ大砲を備えた盤石な船を準備すればいい!
ついでに、東方(インド)に現地拠点までつくって、いっちょ大儲けしてやろう!
で、誰かが突っ込むわけです。
で、金はどうやって集めるの ……?
大船団を組む丈夫な船を揃え、現地で最大の拠点を構えるための資金を長期的に調達するには、家族や友人、身内だけ行うのはどう考えても無理があります。
しかし、その無理を押し通せば、大儲けできるのは間違いないと、商人の勘が告げている ……。
要は、「見ず知らずの他人」から金を集められる仕組みを準備すればいいわけです。
欲深い彼らは、必死に知恵を絞り、ついに資金調達の手段を一歩前へ押し進めることに成功しました。
皆さんはもう、答えはご存知でしょう。
そう、株です。
時代は、1602 年。大航海時代。
この時、人類は歴史を進めたのでした。
株式の 4 つの究極機能
究極的な機能は、次の 4 つであると考えます。
オランダの商人は、継続企業として長期的に利益を出し続けるという約束のもと、出資額に応じて配当を支払う株券を準備することで、資金調達を成し遂げ、大船団を組む丈夫な船を揃え、現地で最大の拠点を構えるという偉業を成し遂げます。
オランダによる「東インド会社」の設立です。
赤の他人から資金を調達するために、彼らは次の 4 つのことが重要であると考え、仕組みを構築していきました。
- 企業へ出資すること。そして、出資した額以上の損失が出ないこと
- 企業活動の成果として、配当をもらうこと
- 企業の成長と株価が連動することで、保有株式の資産が上がる仕組みにすること
- 流通市場で、他の投資家へ転売できること
株式という形で小口に資金を集約する方法は、合理的な資金調達の手段として広まっていきます。
時代が進み、巨大な先行投資が必要となる鉄道業界の躍進でもって、アメリカの株式市場が急成長するという歴史があるのですが、とかく、商人は、1〜3 の特徴を上手くとらえて、自らの利益を最大化していました。
そして、事業に投資した投資家の面々も、彼らの生み出した事業の利益にあやかって資産を増やしていきました。
つまり、資本主義経済が発展するなかで重要なのは、1〜3 の部分だったわけです。
ところで、投資した資本について、急に現金にかえられなければ不便ですよね?
そこで、株式の誕生とほぼ同時に、既に存在していた債権市場をまねて、株式の売買が可能な市場が誕生しました。
つまり、歴史的経緯をたどってゆく場合、1〜3 を実務的な資本収取の手段として利用し、いざという時の予備機能として 4 がある、と解釈するのが自然だったりするわけです。
人間の本質はそう簡単に変わらない
ところが、投資と聞いてイメージするものは、どうでしょう?
周りをみわたしてみてください。4 が多いと思いませんか。
基本機能をないがしろにし、補助機能だけが独り歩きしている。
これが、投資のイメージです。
そして、間違ったイメージをもって市場にアプローチするがゆえに、大きなリターンを得ることなく、資産を減らしていく方があまりにも多い。
もちろん、4 だけを利用する方法を否定するつもりはありません。
換金性を上げるため、流動性を上げるために市場参加者の層を厚くすることは、必要不可欠なことですから。
ちなみに、1602 年に編み出された株式市場は、大盛況でした。
なぜなら、株が転売できる市場が整備されていたからです。
配当をもらうもよし、売却益で儲けるのもよし、何より、リスクは出資額までなのに、リターンは青天井 ……!
これで投資家が熱狂しない方がおかしいですよね。
つまり、人間の本質はそう簡単に変わらないとことです(笑)
1〜3 を投資、4 を投機と呼ぶ
ただ、投資家を名乗る以上、知っておいてください。
4 の流通市場を利用することと 1〜3 の、本来の株式投資の特徴を利用する場合とでは、往々にして求められる行動が変わってくるということを。
そして、同じように株式投資の話をしているとき、話し手がどちらの機能を中心に語っているかに、耳を澄ませてください。
2 つのどちらを選んでも構いません。ただ、明確に性格がことなる 2 つを混同することは、失敗の原因になります。
効率的に利用できる銘柄も選択の基準も、リスク管理の手段も変わってきます。
おそらく、1〜3 の文脈で株を語る場合が投資であり、4 について語る場合を投機と呼んでいるのではないでしょうか。
今日の日本では、1〜4 をまとめて、株式投資と呼んでいる。
4 こそすべてというが圧倒的勢力を誇っていますね。
うがった見方ですが、1〜3 の方が長期的に安定したリターンを得やすいと思っています。
多くの方が 1〜3 の素晴らしい特徴も利用して、資産を増やして欲しいとも思っています。
怖いですね。こういう内容は知らないと、切り分けて考えることができません。
そして、「知る」ということは、言葉を集めることに他なりません。
1〜3 で使われる言葉も、4 についての文脈で語られる言葉も、沢山扱っています。
ぜひ、いろんな言葉を学んでください。
鉄道と決算書のはじまり
1890 年代ごろの米国で、なぜ鉄道が投資家に人気だったかわかりますか?
実は、誰がみても安全な投資が、鉄道業界だったそうなのです。
まあ、種を明かすと単純な話で、鉄道がうまく走っているなら成功だ、と感じることができたからなんですね。
裏を返せば、実際に走っている蒸気機関車を確認する以外に、誰の目にも明らかな成果を計る指標がなかった、と捉えることもできます。
その鉄道ですら、自身の資本の巨大さゆえに不正が横行したといいます。
その現状をかえたのが、会計士と決算報告書です。
- あの会社、儲かりそうなのか?
- 潰れないだろうな?
- 持っておけば株価はあがるか?
投資家が身を乗り出して話を聞くのであれば、投資家に情報を提供すれば儲かるにちがいない、と考え、一儲けをたくらんだのが会計士でした。
経営者が投資家(株主)に対して行った複雑怪奇な決算書を、会計士が監査する。
この構造が洗練された結果、四半期ごとに決算を提出する義務を化された、今日の株式市場があるのです。
決算書を読む権利は、先人の投資家たちが投資を洗練させるために見出した重要な要素だったわけです。
これが、わたしが決算原理主義を信奉する理由だったりします。
2021 年某日

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