初心の手紙 vol.26 ── 投資の勉強は先が長すぎる

初心の手紙 vol.26 ─ 投資の勉強は先が長すぎる

投資を始めたら大金持ちになった。
仮想通貨で一発当てて、億り人になった。
FX で、10 万を 1,000 万にした。

いいですね。夢がありますね。わたしもいつか、やってみたい。
まあ、人生では二度ばかり、身の丈に合わないお金を手にしたことはあります。
一度目はビットコイン。二度目はテスラで。
(もちろん、億には程遠い金額ですよ)

一度目はすっからかんになりましたし、二度目はいま、実力が試されているところです。はてさて、どうなることやら ……。

ただ、一度目と二度目では、はっきりと言えることがあります。

お金に関する知識は、段違いです。

わかっているか、わかっていないかという話

わたしの周りでお金を持ち続けられるひとは、明らかにわたしよりお金について詳しい。
一発当てたかどうかはともかく、これは正しい(と、わたしは思っています)。

学習のステージとして、ひとは次の四つにわけられるそうです。

学習の 4 段階 ── 無意識的無能から無意識的能力へ

1. 無意識的無能

何にもわかっていないという状態です。
この種の人間は、危ないとわかっていないがゆえに自分自身をリスクに晒しがちになります。
そして、自分が何をやっているのかわかっていると思っているのです。

特に救いがない不幸は、はじめての投資で大儲けすることではないかと思われます。
トレードや投資の秘密を見つけたと確信し、さらなるリスクに身を置いてしまい、最終的には全てを失ってしまうのです。
(vol.01「まずはブレーキの話から」参照)

2. 意識的無能

自分が初心者だった、と自覚する状態です。
自分がどうすればいいのかわからず、右も左もわからないことを自覚した時点で、この段階にあると行っていいでしょう。
そして、学ぶことのあまりの多さに絶望して、自分は無力だとわかり、ひとによっては諦めてしまう。
投資でお金を得るには、とてつもなく「苦労」しなければならないのだ、と知るわけですね。

3. 意識的能力

わたしもあなたも、上手いひとのように、例えばバフェットと同じように、株取引できることは間違いありません。
証券口座を開いてボタンを押せば、誰だって株を買うことができるからです。

昔は対面しか取引できず、証券口座を開設するにも資金が必要だったと聞きますから、昨今で投資へのとっかかり易さは段違いで良くなっていると言っていいでしょう。

でも、バフェットのように企業を見極める目は、まったく持っていません。
彼は、銘柄を決断するのに 10 分も必要ないそうです。
それだけでなく、動かす金額は、サラリーマンの生涯賃金よりなお多い。
わたしなら、夜眠るどころか、1 秒たりともモニターから目が離せなくなること請け合いです。

4. 無意識的能力

大抵のひとは、「歩く」「話す」ことに意識を割いていません。
これこそが、おそらくどうやっているかを意識しないで決断できる、達人の領域。
わたしや、おそらくはあなたが、絶対に眠れなくなるレベルの恐怖がある決断をなんのくもなくやってのける方ではないかと。

リスクは、人によって変わる

バフェットにとって、その行動はリスクではない。
なんでだろう、と考えて、ふと思い当たったことがあります。

確かにバフェットのやっていることはリスクです。
「もし、わたしがやったなら」ですが。

ちょっと考えればわかることではありますが、リスクはひとによって変わります。
投資仲間で、銘柄について議論しているとき、こんなことがありました。

いま、サイバーエージェントは買いだよ!

友人がそれを言い出したとき、気でも狂ったのかと思ったことをよく覚えています。
即座に、間違っていると思いました。ありていにいえば、アホか、と。
ゲームセクターは浮き沈みが激しく、しかも、サイバーエージェントは年初来で 2 倍以上になっている躍進銘柄です。
今から飛び乗るのは正気には思えなかった。

でも、彼は買いだといい、あろうことか、こんなにリスクの低い投資はないといいます。
実際、彼は自分の持説通りに投資をして、ごく短期間の間に 10% 近くの利益をあげていました。

逆に、彼がリスクは小さいと言っていても、全く理解できないことがあります。
わたしは、コロナ収束後の期待感で JR 系列の株は全力で買うべきだと主張しました。
ところが、皆にはわかってもらえません。
わたしは自分のシナリオ通りに投資して、利益をあげました。

いま振り返って考えてみても、わたしは適切なリスクをとっていたと思うし、不必要なリスクを負っていたとは到底思えない。

この時、わたしは、自分が何をしているのか、確かにわかっていたのです。

おそらく、友人がサイバーエージェントを買いに行ったときも、同じ状態だったのではないかと。
ここまで分析して、やっと腹落ちしました。
わたしより上手い人は、わたしが必死をこいて見つけたような JR の株を見つける「手段」と、それを自分なりに「解釈」するパターンをたくさん持っているんだな、と。
おそらく、その頂点にいるのが、バフェットのような名人なんだな、と。

投資に労力をかけるかかけないか

まず、お尋ねします。

投資の目的を達成したかどうかは、どうやって図りますか?

「そりゃあ、目標額を儲けたかどうかだよ。今回の投資で 10% とか 20% とか、利益が出たかどうかさ」
そう答えた方は、多分、相当「苦労」する必要があると思われます。

これは、いま振り返ると、無駄なことをたくさんしたなあ、と思う事柄のひとつです。
大抵のひとがいう労力は、驚くほど投資の結果を左右しません。
少なくとも、はじめのうちは。(わたしの感覚だと 1〜2 年くらいは)

それだけでは退屈だ、というならリスクのある個別株という道になるでしょう。
驚くほどリスクがあり、しかも幅広い知識が必要で、本当に、「苦労」しますよ。
正直に言って、オススメはしません。

ただし、「労力」をかけないと決めたら、インデックス投資のリターンで満足する必要があります。
つまり、一年かそこらで億り人なんて妄想はすっぱりやめて、合理的かつ堅実なアプローチを続けることです。
月並みだといいつつも、年率 9〜10% は出るのです。30 年掛けて億り人になれる道なんですから ……。

日記と大局を見る目が、運用成績を変える

じゃあ、どないすんねん、という話ですね。

わたしは、お金を儲けたいです。

皆さんはどうでしょうか。
わたしは株を買うとき、儲けたい。
少なくとも何かを基準にして、「儲かる」と考えたから、その銘柄を前にして札束を握りしめている。
そして、恐々と購入のボタンを押し、約定してからチャートをみて、手数料分既に負けていて胃がキリキリして、ふて寝する。

で、問題はここからです。

自分が考えた通りに上がったのなら、よし。
自分の考えに反して下がってしまったとき。
チャートなのか、決算なのか、インパクトのあるニュースなのかはわかりませんが。何かしらが原因で、自分の判断が間違いだと気づいた時。

あれ、俺、なんでこの株買ったんだっけ ……?

これが「苦労」の第一段階ですね。
投資界隈に限らず、日記をつけるといいよという話を耳にしたことはありませんか?
これは、効きます。

例えば、ひとから聞いた銘柄に投資したときの失敗談です。
この銘柄いいよ、と言われて一週間くらい観察してみたところ、確かに順調に上がってたので、購入しました。
ところが、丁度買った瞬間が天井で、がらがらと崩れ去ってしまう。
友だちに報告したら、「どこで買ったんだ?」

この後も、二、三回同じ失敗を日記に書きつけていていたので、ある時気がつきました。
わたしは、上手い友だちと比べて、決断するのが遅いらしいぞ、と。
そこからです。自分の行動が劇的に変わったのは。

上だと思う理由を三つ四つあげて、日記に記しておく。
メモは何でもいいです。わたしの場合は、ノートであり、Evernote であり、Scrivener であったりします。
理由がなくなったら、さっさと売って反省する。
これを繰り返していると、お金が「減らなく」なってきます。

じゃあ、どうやって儲けるんだ、という話ですね。

大局を見ると成績が変わってくるようです。

大局ってそもそもなによ? と言われたら、おっしゃる通り。
わたしも、初めは個別銘柄しか見えていませんでした。

大局をみるとは、S&P や日経平均、米国債 10 年利回りを見ること。
FOMC や CPI などの経済指数を把握すること。
直近では、世界経済に大きな影響を与えるコロナウイルスの動向を追うこと。
あとは、合衆国の経済支援、経済刺激策でしょうか。

個別銘柄、すごく意外なんですが、個別銘柄のチャートをみるのはこの後なんですね。
つまり、順番がそもそも違う。
狙うのは、元気のあるセクターで、上昇傾向のある分野に身を置くことを決めてから、その分野で良さそうな銘柄を見繕う。

この発見は革命的で、わたしのポートフォリオに大いに良い影響を与えましたので、ぜひ皆さんにも挑戦していただきたい内容です。

そうやっているうちに、4 年が経過しました。わたしの手元には、2,000 万貯まっていました。

おまけ ── ビジネスオーナーの発想

最近、効くのではないかとぼんやり思っていることがあります。
ビジネスオーナーの発想を持つことです。
ここで必要なのが、経営者が使う言葉文脈で使っている言葉、なんですね。
そして、多分、ビジネスオーナーの目線で物事をみる必要があるんですね。
これは、広義な意味では、彼らが提供しているサービスから理解することができるのではないかと。
だから、Tesla は買いですし、Zoom も買いです。

ただ、これだけでは足りないなあ、と思っている今日この頃。
企業のキャッシュフローが確保できているか。
企業がどこからお金を稼いでいるか明確であるか。
企業が順調に成長できており、来年度も成長する見込みがあるか。

これらを知れる最高の武器があります。決算です。
で、ページを開いてみる。
確かに書いてある数字とか、今後の見通しとかは読める。
でも、大体において数字の羅列なんだよなあ ……。
それが、いまいまの悩みだったり。

2021 年某日

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