新品の iPad が欲しい!
2 年前、一念発起して iPad を購入。清水の舞台から飛び降りるとはこのこと。
総額、20 万円!
嬉しくて、嬉しくて、旅先はもちろん、仕事でもプライベートでも、毎日持ち歩いていました。
生活も激変しています。
外で原稿を書くようになったし、手書きのメモで指示も柔軟になったし、テレビ会議もお手の物。
まさに、人生を変えた買い物と断言しても過言ではありません。
ですが、ついこの間。気がついてしまったんです。
大好きな iPad で、新しい iPad を物色していることに。
ありていに言えば、大好きだった iPad に、「飽きた」んですね。
その段階になって、初めて真面目に考えたわけです。
お金の上手な付き合い方ってなんだろう、と。
喜びには賞味期限がある
最初に結論です。
わたしたちは、自分が幸せになれるようなお金の使い方をしていると「誤解」しています。
お金を持っていれば、大抵の煩わしいことは解決するでしょう。
愛ですらも、お金で買えてしまうかも知れない世界です。
(ちなみにわたしの友人は、愛がコンビニで売っているのを目撃したそうです。その額、なんと 298 円!)
とかく、それなりにお金を稼がれてきた方々に質問をひとつ。
薄型テレビ買ったけど、幸せってどのくらい長続きしましたか?
BMW と国産車、ドライブの幸福度の研究
ひとつ、興味深い例があります。
BMW と国産車で、どちらを購入するのが幸せかを調べた研究です。
まず、自分で車を所有している人に、最後に運転したときのことを思い出してもらい、そのドライブをどのくらい楽しんだかをランクづけしてもらいました。
彼らの車の値段には、400 ドルから 40,000 ドルと大きな幅があります。
ところが、どのくらいドライブを楽しんだか、という点で、優位的な差は見られなかった、という結果がでています。
本当かな、と疑ってしまいますよね? 金額によって、絶対変わってると思いたいですから。
そこで研究者らは、オーナーに自分の車のメーカーおよび製造年を尋ね、それから車を運転している時、普段どんな風に感じていうかを聞きました。
ドライバーは果たして、BMW と国産車のどちらのハンドルを握っているほうが幸せになるのでしょうか?
調査の結果、確かに幸福度は上昇しています。
ですが、運転手のコメントに、上昇した理由が書かれています。
わたしの車は 300 馬力で、格納式のハードトップがついたミッドナイトブルーの Z4。もちろん、運転は楽しいに決まっているさ。で、次の質問は?
(非常に面白い翻訳だったので、そのままのせています)
なかなかエッジが効いた回答ですね。
なぜ、このような回答になったのでしょうか。
少しイメージしてみましょう。
皆さんは運転しているとき、どんなことを考えていますか?
半額弁当が残っているかとか、駐車場が見当たらなくてむしゃくしゃするだとか、危なっかしくてノロノロした初心者の運転にヒヤヒヤするとか。
そういった類のことを考えているはずです。
そんな普通の状況で、車のメーカーやスペックのことは、まず浮かんで来ないはず。
なにせ、普段は車を運転することではなく、ただの移動の道具として考えがちなのですから。
違いを感じるのは、研究者に自動車のことを尋ねられたり、ドライブを楽しむために、わざわざ曲がりくねった山道にドライブへ行った時などの、関心が車に注がれているときという、非常に稀な状況においてではありませんか?
つまり、高級車に乗っていても、慣れてしまう(あるいは飽きてしまう)ため、幸せは感じにくいのです。
これは、まさにわたしの iPad の所有欲と同様ですね。
購入直後は、カフェでドヤ顔しながら、iPad を広げているとき、視線を集めて気持ちよくなっています。
でも、いま、わたしが感じる iPad は、漫画を読んだり、文字を書くための単なる道具にすぎません。
時々、それ、iPad ですか、と聞かれて誇らしくなる。それくらいの価値しか感じられないのです。
大金を叩いて購入したものの幸せは、長続きしても、大体 24 ヶ月くらいだったりしませんか?
お金の量と幸せはあまり関係ないらしい
ちなみに、もうひとつ、興味深い例を紹介します。
今度は、お金の量と幸せについての影響をしらべた研究があります。
いまや、知らぬ人はいないであろう超巨大企業、Google。
Google ではかつて、業績トップの従業員たちに 7 桁のボーナスを支給していました。
もちろんドルですから、どんなに安く見積もっても一億円は下りません。
ところが、巨額の現金または株式による報酬は争いのタネになることが、社内で問題になっていたようです。
そこで Google は方針を変更しました。
最も傑出した結果を出した従業員に、魅力的な人生の経験を与えることにしました。例えば、コスタリカへの旅行だとか。
その旅行での経験は、つまり、全社に渡る仲間や経営幹部と一緒に過ごす経験は、それに相当する額よりも、もっと強烈で貴重な経験だった、と社員は言うのです。
社員旅行が幸運を? という疑問をもちましたが、ちょっと考えて、腹落ちしました。
彼らは結果を出して、勝ち抜いた猛者たちです。
そして、そんな彼らが望むのはきっと、自分が会社(あるいは社会)へどれだけ貢献できるか、という信念を持っています。
目の前には、会社の方針を決める経営幹部。
Google という、世界を動かせる立場の会社の経営幹部です。
くわえて、彼らは、おべっかを使う対象ではなく、実績を残した自分たちを労う側の人間です。会社で実績を残してくれた人材を無碍に扱うことはないでしょう。むしろ、間違いなく好意的に違いありません。
今後の会社をよりよくするにはどうすればいいかを話し合う場を得ることができたのです。
南国の観光地で。
その旅行と、一度きりの一億円。果たして、どちらが興奮するでしょう?
どうやら、お金の量と幸せにも、あまり影響がないようですね。
経験を買う ── 第一歩
闇雲にお金を使ったとしても、幸せとはなんぞや、という内容に答えを見つけるのは難しいと思います。
ただし、その取っ掛かりはもう、見つけることが出来たようですね。
高級車のようなブランド品を購入しても、目新しさは日常にすり潰されていきます。
物では、「飽きる」ことに対抗できないんですね。
では、何を買えばいいのか?
Google の研究が、旅行という解答を示唆してくれています。
これをもう少し紐解くと、どうやら、次のような解答に行きつきそうです。
1. 経験を買う
これがどうやら、幸せに近づく大きな方針のようですね。
実際、物質的な買い物による満足度は時間の経過とともに減少する傾向があります。
逆に、経験的な買い物による満足度は、時間が経過するごとに増していきます。
- 過去の思い出
- 喜びを与えてくれる経験
そういった方向にお金を使うことが、お金で幸せを買う第一歩のようです。
もっと詳しく知りたいひとのために
なぜ、どんな買い物が自分を幸せにして、どんな買い物だと幸せにならないのか?
なぜ人は、それを試行錯誤によって、なかなか知ることができないのでしょうか?
そりゃあ、話は簡単で、誰にでも通用する「絶対的な」ものさしが存在しないからですね。
つまり、自分用に、幸福とお金に関するものさしを準備する必要があるのでしょう。
ただ、その日の買い物について振り返り、その日、自分を幸せにしたり不幸にしたりしたものを調べることってありますか?
- チーズとワインを買った時に、どのくらい幸せになりますか?
- 運動をしたあとの水と、仕事終わりのビールではどちらが幸せになりますか?
- ジャンクフードを食べたとき、体重の増加が気にならないくらい幸せになりますか?
重要なのは、ちょっとずつ知ることなのかな、と。
幸せとお金について、相関の大きいものと小さいものとがあることを「認識」することが効いてくるのだと思います。
今回の内容は、『幸せをお金で買う 5 つの授業』(著:エリザベス・ダン)の研究結果を引用しています。
お金と幸せという曖昧なものに熱意を上げて研究し、結果をまとめてくれた良著です。
著者は、本書の中で下記の項目にお金を使うことこそが幸せに繋がると主張しています。
- 経験を買う
- ご褒美にする
- 時間を買う
- 先に払って、後で消費する
- 他人に先行投資する
他の項目についても「認識」を深めると非常に納得できる内容です。
お金に疲れてきたな、と感じたら是非手に取ってみてください。
2021 年某日

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