初心の手紙 vol.03 ── 投資は戦略だよ、兄弟!

初心の手紙 vol.03 ─ 投資は戦略だよ、兄弟!

株式市場でもっとも根本的な戦法は、チャートでも心理戦でもありません。
自分の持てる資金を、いかにしてシステムとして管理できるかです。

トレードと戦略は、別の話だ

なに小難しいことをいっているの? 安い時に買って、高い時にうったらいいじゃないか?
いいえ、そんなことが出来るのは、神さまだけです。

高い安いを見るために、チャートを眺めるんじゃないの?
いいえ、あなたは多分、株のトレードと戦略を混合しています。
トレードは、単なる技術です。

大事なことなので、もう一度言います。

重要なのは、「戦略」です。それも、できるだけ単純なものが良い戦略です。

そもそも、あらゆる指数は自分に都合の良いように変えることは出来ません。
(直近で、それを揺るがすロビンフッド事件がありましたが ……)

特に初心者の方が陥りがちな戦略は、とにかく何か値上がりしそうな個別株に集中投資し、2 倍、3 倍に増やしてみたい。そうでなくとも、お小遣い程度の額は勝ちにいきたい、と考えて始める方が多いはずです。

ですが、あなたが投入する額は、別に、あなたの気持ちを表しているわけではありません。
Mr. マーケットは、あなたのお金を、純粋な数字としか見なしません。
つまり、容赦なく乱高下します。

初心者がやりがちな、2 つの失敗

世の中には、10 倍、20 倍になる株は、確かに存在するのです。
しかも、大きな値上がりが期待できる銘柄は、マーケットには無数に存在します。チャンスはいくらでもあるのです。

でも、大抵のひとは、そのチャンスをものにできません。
なぜか?

チャンスが巡ってくるまで、市場にお金を置き続けることがとても難しいからです。

わたしが思うに、株での失敗は、次の二つがあるようです。

1 つは、資金が小さいうちに、1 点賭け、あるいは全資産をわずか 2、3 の個別銘柄に集中投資して資産を増やそうとすることです。
これは、非常に初心者がやりがちな間違いでもあります。

始めればすぐにでもわかるのですが、出来ることが少なすぎるんですね。
一度買ってしまったら、次にできる行為は売りしかありません。たとえどんなに値下がりしても、売って損失を確定すること以外に、取れる手段がなくなります。

特に資産が薄いうちは、安くなったから、と追加投資することすらできなくなるのです。
人間は、ストレスを感じると、脳の働きが低下することが科学的に証明されています。ですので、自分の証券口座に含み損が下がるという、強烈なストレスがかかる環境下で行う判断が、まともな判断であるはずがありません。

ふたつめは、自分の欲に勝てなくなる、という失敗です。
1 度経験した成功体験は、いつまでも続くと感じてしまいます。そして、1 点集中投資を行い、最後の最後で失敗するのです。

1 度でも、資産が 2 倍、3 倍に上昇した経験をもつひとが、他の戦法を試す気と思いますか?
凡人のわたしには不可能でした。
他の戦略に切り替えることができないままに、どんどんゴミに近づいているそれを握りしめ、祈って、最後にはすっからかん。

コア・サテライト戦略の 3 要素

以上の 2 点を踏まえ、余力のない個人投資家は投資戦略を練る必要があります。
具体的には、下記の 3 点が含まれていることです。

  • ほとんど負けることがない場所に投資し、複利の力を活かしながら原資(バンクロール)を増やすこと
  • 個別銘柄の最低購入額が小さい環境で投資すること
  • 負けを戦略に取り込むこと

わたしが立案した戦略は、次のようになります。

ある程度まとまった資金を、売買するより遥かに可能性のある商品に投資し、資金が貯まったところで、原資(バンクロール)の中から 2% を個別株に投資する。

そんな都合のいい話、あるわけないよ。
いいえ、あるんです。コア・サテライト戦略といいます。

それぞれ、こう対応します。

  • 負けない場所で原資を増やす → なるだけ早い段階から VTI(全米株式インデックス・ファンド)に投資し、原資を貯める
  • 最低購入額が小さい環境 → 米国株の個別銘柄を物色する
  • 負けを戦略に取り込む → ひとつの銘柄に賭ける額は、全体の 2% まで(VTI を原資として 70% 確保し、残り 30% を出動資金とする)

VTI を原資にする ── 過去 200 年の実績

まず、原資を増やすという戦略から見ていきましょう。
いま一度、立ち止まって考えてみてください。
投資で重要なのは、これだ、というチャンスが見えるまで、大勝ちするための資金を、いかに資金を持続させるかです。

自分の手元の資金は、あなたのためた大切な資産の一部であると同時に、純粋な戦略上の額でもあるのです。
では、何に投資しましょうか?
頼りにするのは、過去の実績です。

過去を振り返る限り、資本主義経済は成長の一途を辿っており、向こう 200 年間の成績を見る限り、株式を保有しないという選択肢はありません。

世界経済が今後も成長することに賭けるなら、VTI は最も有力な投資先のひとつになりえます。
毎月、定期預金のように定額で買い付けていくのです。

いくらか、という目安はありませんが、わたしはこの戦略で 200 万円まで作りました。
大金じゃないか!と思われるかもしれませんが、意外に早く貯まります。
大抵増えるので、もっとたくさん注ぎこみたくなりますし、時間分散がなされた銘柄は、意外と上手く上昇するものです。

米国株を選ぶ理由 ── 株主還元、上場審査、人口増

この世には、もっとも効率的に資本主義を発展させようと、発展させてきた国があります。

  • 株主還元率が世界一浸透しており、自社株買いや配当還元に積極的な国
  • 世界一厳しい上場審査基準があり、透明性が高い国
  • 先進国の中で唯一人口増加が見込まれ、国内需要への見通しが明るい国

彼の国の名は、アメリカです。

日本国内の株は、100 株からしか買えませんが、米国は 1 株から買えます。
しかも、上記の通り、株主還元を優先してくれます。
CEO は、株主に還元できなければ飛ばされますから、彼らとしても必死です。
結果として、いち個人投資家としてありがたい投資環境になっています。

要するに ── 戦略を立てて、考えよう

わたしは好きなんですよね、個別株。
全世界インデックスは最高の運用成績をあげている方式ではありますが、投資家に利益をもたらしてくれるのは、中小型株なんですから。
銘柄を分散することで原資を減らす確率を、0.1% まで引き下げることが可能なんです。

わたしは上記の基本戦略で、より少ないリスクにもかかわらず、より多くのお金を作り出せると信じています。

ただ、わたしは、この手法が最適であるとは考えていません。
原資(バンクロール)の中に、金や銀などの貴金属や、債券、社債、あるいは現金で持って、VTI の変動を安定させることは、とても良い選択だと思います。

また、市場に身を委ねて銘柄を物色していると、絶対に勝てるという直感が働くことが、ごく稀にあります。
2% で味見をしていた株が、いい具合に値動きする。決算が素晴らしい。あるいは製品が破壊的イノベーションをもたらす逸品である ……。
まさに、ここだという一瞬に、2% 以上の原資を放出して勝負をする。
自分が何を買っているか、ちゃんと確信してれば、大いにあり、です。

わたしが言いたいのは、戦略を立てて考えよう、ということです。
株を単純に、買ったり売ったりするだけで、自分の中に溜まるのはトレードの技術だけです。

自分が何をしているか、をはっきりさせましょう。
負けることを、戦略のなかに折り込みましょう。
そして、実際の投資で学んだことを折り込み、投資の仲間と戦略をつきあわせ、戦略を改訂し続ける。
自分が思っているより遥かに早い段階で、BS の資産の欄が潤ってきますよ。

要するに、初めから最終的なポートフォリオをイメージして買っていこうよ、という話でしたよ、兄弟。

2021 年某日

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