初心の手紙 vol.16 ── 死を受け入れる心理学がまんま株式市場の損失な件

初心の手紙 vol.16 ─ 死を受け入れる心理学がまんま株式市場の損失な件

投資で成功を収めるためには、自分のことを理解することが早道です。
しかも、間違いを犯したとき、他にどうすればよかったかを反省できるようになるにも時間がかかります。

投機家は、つねに冷静であるための方法を学ぶために、いかなる代償も惜しむべきではない。

人生で 4 度破産した伝説の投機王リバモアの言葉です。

わたしの場合、自分が損をしたときは、得てして自分のコントロールを理性によってではなく、感情で動かしたときです。
その時に、自分の心の動きを、当てはめることで客観視できる心理学は非常に有効な手段たり得ます。

例えば、ZOOM で大変な損失を被ったとき、わたしはどうしたでしょうか。
状況としては、一週間で 60 万溶かした感じですね。

含み損がでると、得てしてどんよりした気持ちになるものです。
そして、損した銘柄についての変化は、どうやら下記のように推移していくようです。

死の受容の 5 段階 ── 否認、怒り、取り引き、抑うつ、受容

  • 否認
  • 怒り
  • 取り引き
  • 抑うつ
  • 受容

なんとか、きっちり切り分けることが出来ました!
200 人に及ぶ暴落経験者へ直接面接取材で、投資家の暗黙の訴えを汲み取り分析した結果 ── 。
というわけではなく。

上記の 5 項目は、エリザベス・キュブラー=ロスによる『死の瞬間』で紹介されている、死の受容プロセスの 5 段階です。
全てのひとが同様の経過をたどるわけではなく、受容しないままに亡くなる方もいらっしゃるそうです。

御託は結構。株の話を聞きに来たのに、なんで心理学の話が出てくるの?
解説される心理状態が、株の暴落時に経るプロセスと面白いほど一致するからです。

株式投資で時々出会う暴落というのは、受け入れ難い死の恐怖そのものなのです。

銘柄の選定は正しくとも、買うタイミングが悪くて大損するなんてことは、往々にしてあります。
ファンダメンタルは読めてもチャートで失敗するパターン。
ポジポジ病のとき、よく発症する症状だったりします。少なくとも、わたしの場合は ……。

各段階を、株式市場で再現する

1. 否認

投資家が大きな衝撃をうけ、自分の保有株が暴落することはないはずだ、と否認する段階です。
いやいや、まだ株は大丈夫だろう。ちょっと下がっただけ。ちょっとだけ。
え、これが暴落? 想定内、想定内。ノープロブレム。
特に問題は変わってないし、初期の見通しが少々あまかっただけ。
心理状態としては、こんな感じでしょうか。

2. 怒り

なぜわたしがこんな目に遭うのか、なぜ暴落した株を握っているのかと怒りを周囲に向ける段階です。
特に悲しいのは、ひとから勧められて、あるいは SNS 上で話題になってる株を摘んだときでしょう。

いやいやいや、これひとから勧められて買った株だし!
絶対上がるって言われたから買ったやつだし!
あーちくしょう。ふざけんなクソジジ。
(ZOOM の Yahoo 掲示板とか呪詛に満ち溢れてますよねー)

3. 取り引き

延命への取引。
なんとかして、損を受け入れないですむ取引を試みる状態です。神さまに縋るような祈りを捧げて株価を戻してもらおう、と思ってる状態。

  • 株式市場これ一発! みたいな高額情報商材を買っちゃうとか
  • インサイダーしか知らない耳寄り情報があるとお布施しちゃうとか
  • あるいは、もう下がったんだから更に倍プッシュして買っちゃえば大丈夫だ、とか

株価が下がったら更に買い増ししたくなりません? いわゆるナンピンです。
わたしは、最終的には安く買えたから問題なしってしたくなるんですよね。資金が拘束されるなかなかの悪手なんですが、やっちゃう。
わたしの買いで、株価が上昇トレンドに戻るかも、なんて考えたり。
我慢できなくて、何か行動していた方が安心できる側面が、あるんでしょうね。
マーケットのトレンドに逆らうと碌なことがない ……。

ちなみに、ナンピンについてだけに注目するならば、きっと感応度低減性の罠に陥っています。
増資してリスクが高まる行為にもかかわらず、購入価格と今の価格との差に心の安寧を求めようとしちゃうんですね。

4. 抑うつ

運命に対する無力感を感じ、失望し、ひどい抑うつに襲われて微動だにできない状態です。
あーもう無理。あがらん。辞めちまおう。
これが生の声です!

中途半端に抑うつだと、全部売っちゃったりしますね。
一旦手仕舞いして、落ち着いたらまた市場に入りなおそうかな、とかいう誘惑にかられるのもこの時です。
戦略としては間違ってはいないでしょう。否定も肯定もしません。

問題なのは、苦い経験を負ったままに手仕舞いしてしまったひとが、もう一度株式市場に戻ってくるかということです。
株で痛い目をみたひとが、再び上げ相場で帰ってくるところを、わたしはみたことがないです。
これにだけはなって欲しくないと、心から思います。
亜種で、個別株投資は辞めてインデックス一本で行こう、となるひともいます。

5. 受容

自分が直撃をうけた暴落を受け入れる状態です。
同時に、長期保有へ一縷の望みを託したくなる状態でもあります。いわゆる塩漬け。

ちなみに、塩漬するか否かで役に立つのは、ファンダメンタルであり、決算です。握力の源泉は、決算だけ。
わたしの場合、この状態になってやっと間違いを正面から見つめることができるようになります。
銘柄選択か、購入するタイミングか、資金管理のどこかを失敗したんだ、と。

ちなみに、ビットコインの暴落からわたしが投資を学ぶのに、3 年かかりました ……。

フレームワークとしての、5 段階

ずどんと資産が減少したとき、わたしは上記のプロセスのうち、どの状態に自分がいるかに心を砕くことにしています。
このフレームワークが、誰かのためになればいいのですけれど ……。

2021 年某日

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